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パリのクリスマス=ノエル
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パリのクリスマス=ノエル

(羊羹のとらや)まこと誌に掲載されたエッセーの転載

クリスマスの時期になると、シャンゼリゼ通りは、眩いほどのイルミネーションで美しく飾られる。7月14日祭(パリ祭)の時には軍隊が行進するほどの大通りで、 原宿のナントカ・シャンゼリゼとは、スケールンが違う美しさである。

この時期、オペラ座界隈のデパートのショーウインドウは、精巧な仕掛けを施したディスプレーやクリスマスプレゼント用のおもちゃがならび、 子供どころか大人までもが、その面白さに惹かれ黒山の人だかり各商店は最後の大売出し、店の化粧に余念無く、パリ中が飾り立てられてゆく。

ノエル=クリスマスにキリストの誕生を祝い、教会に出かける人、自宅でくつろぐ人と言った具合いに静かに過ぎてゆくのだが、その前夜祭=イヴはさすがフランス人、 と言いたくなるほど、食べることに全ての情熱が注がれる。フランス人は食べる為に働き、イギリス人は、物を買うために働くと言われる位、 食べることが大好きな国民のこと信心深い人も、信仰心の薄い人も、各々の家計の事情に応じて、自分が一番美味しいと信じるご馳走を食べる日でありクリスマスと言えば、 七面鳥とワンパターンで決まっている訳ではなく、何を食べるかが彼らの最大の関心事となる。

一方、12月は、肉屋の店先には野鳥や鹿、野兎、猪が並び、 魚屋の店頭には生牡蛎や「海の幸」が山と並ぶ。美味しい料理を作るには素材に困らない季節でも有る。 パリの冬の風物詩、エカイエ(カキむき職人)もクリスマスは最大の掻き入れ時で、満席のレストランの客の為に忙しくカキを剥く間をぬって、出前の盛り付けに大忙し。 70〜80センチは有ろう大きな円型のプレートに細かくくだいた氷をびっしり敷き詰め、平べったいブロン種のカキ、真ガキ、ハマグリ、ムール貝、小海老等を美しく、 山の様に盛り付け、近くのアパルトマンに日本のソバヤよろしく出前をする。レストランに行かず、友人や、親、兄弟を招いての自宅でのパーティーもクリスマスまで、 つまり25日になるまで(深夜まで)続けられる。

数日後には次の、レヴェイヨン=大晦日がやって来る。大晦日のご馳走はもちろんだが、シャンパン、ワインを飲んでの年が替わるまで、ダンス、ダンス、ダンス。 時計の針が12時を指すや、口々に、「ボン・ナネ」(良い年を・おめでとう) を連発して、誰かれかまわず、頬と頬にキッスする12月は左様に忙しい。

当エッセイは日清社の「フーディアム誌」に連載された「酒井一之の〈おしゃべり ア・ラ・カルト〉」を転記したものです。よって版権は日清社が保有するものです。








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