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フランスの「身近な幸」エスカルゴ、カエル、ザリガニ、シャンピニョン
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フランスの「身近な幸」 エスカルゴ、カエル、ザリガニ、シャンピニョン

  私の子供の頃は、ドジョウ、ザリガニ、タニシ、イナゴなんかはその辺で簡単にとり、子供達の格好の遊びの対象であり、海のでも、川のでもない、「身近な幸」として貧しかった時代の食卓をにきわしてくれたものだった。タケノコやクリを拾って帰っても土地の所有者が怒るでもなく、何か自然の物はタダというおおらかな感覚があったのかもしれない。

フランスの「身近な幸」と言えば、なんと言ってもフランス料理に欠かせないエスカルゴ(カタツムリ)、カエル、ザリガニ、ザリガニ、その他馬糞の中に自生するシャンピニュオン(キノコの一種、マッシュルーム)などがある。 ちなみに、昔は、オワール河にサーモンが、ジロンド湾にはチョウザメがウジャウジャいたなんて長老が言うのも、今は昔の話。 カエル、カタツムリと聞いてP「グロテスク」、「さすがグルメの国」と評価相反するが、フランス人から見れば日本人もけっこうイカモノ食いと思われている。フランス人が絶対ダメの極めつけは、魚の目玉。まあ文化が違えば食べる物も違う、お互いの文化を尊重しあいましょう。

  エスカルゴ

夏の暑い日、一天のにわかにかき曇り、ドシャ降りの雨、ボルドーからブルターニュを旅行していると、日本では考えられないこんなスコールにあうことがある。けっこう洪水も多い。30〜40分で雨雲が去ると、真夏の太陽。陽の光を合図に背丈ほどに茂った雑草や雑木の中から、エスカルゴがどこからともなくはい出してくる。 それを目当てに、近くの家からおかみさん達や子供達が入れ物を持って集まってくる。陽気な彼らは自分の家で食べる分を取り終えると、さっさと帰る。そこが日本人と違うところで彼らは取り尽くすようなことはしない。エスカルゴに関しても、一家言あり。

2〜3日エサをやらずに空腹にして陽をきれいにして茹でる人、香草をエサにしてエスカルゴ自体に香りをつける人、小麦粉の上をはわせ、腹の中の消化した葉を排泄させてから料理する人、カラのまま茹でて・・・、イヤ・・・、イヤ・・・。

彼らの料理の能書きをここで全部つづると「エスカルゴの調理に関する我が家の秘伝の・・・」200〜300ページの本がすぐにでもできてしまいそう。 エスカルゴはすでにフランス本国でも少なくなって、タイや台湾産のものをフランスが輸入して、日本やアメリカに輸出してるって話は、本当で、自国産のエスカルゴを工場加工して外国に輸出するほど余裕はない。が、田舎の人達が自分で食べるくらいは身近にまだまだいる。

  食用ガエル

食用ガエルは、モモ肉の皮を剥き、串に刺してマルシェ(市場)でも売っている。頭がついてなく、その姿はちょっとエロチックでもある。

カエルと言えば、昨年のこと、親友のシェフ(下北沢のとあるレストランのオーナーシェフ)と「そば」の話をした。「うまいそばを食べさせる」、その一言で、翌日はもう長野県は松本駅に。 観光客が「また帰ってこい」との願いから、町のシンボルが「カエル」。近くのカエル塚で殊勝にも手を合わせる私。暑い日だった。汗をふきぐっしょりぬれたハンカチを片手に、遠くで待っていたシェフの方に向かった。と、不思議なことにおびえた顔をしてあとずさりするシェフ。どうしたんだといぶかし気に近寄る私。逃げる彼、追いかける私、ようやく追いついた私の汗でしめったハンカチを目にした彼はキャーッ!と叫ぶや私の手をはたく。ハンカチは飛んで車道の真ん中、あまりの大声に目の前の交番からおまわりさんが顔を出す。

「やめてくれー、オレはカエルが大嫌いなんだ!」必死の形相。カエル塚に金魚はいたが、カエルはいない。汗でぬれたハンカチを見て、カエルが包まれていると勘違い。私は今度フランス産の カエルを彼に送りつけようと計画中だ。

当エッセイは日清社の「フーディアム誌」に連載された「酒井一之の〈おしゃべり ア・ラ・カルト〉」を転記したものです。よって版権は日清社が保有するものです。








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